5.水泳高校日本新記録、T高校の報告           

        1998.12.7. メンタルトレーニング応用スポーツ心理学研究会 報告者 西貝雅裕先生

「T高校水泳部 監督T氏 200mフリーリレー高校日本新記録樹立について」
 どんなことをしてレースに送り出したか? 監督になって最初の新記録は1991年に100m背泳、2度目は翌年春200mメドレーリレーで新記録。しぱらくとおざっかっ ていたので何かヒットを飛ばしたいと考えていた。偶然今年の春の1年生が入った時点でこのリレーならねらえるかもしれないと考え目標設定をして選手にアドバイスをした。 今回は1991、2年の時より可能性は薄かった、厳しかった。特に1年生が3人いたため、本当に自分の力を出し切れるかどうか。いずれの新記録の時も選手の力を普通に 出したのでは記録はでない、実力プラスα、ミラクル、自分の力以上のものを出さない と結果は残らない。
 どんな風に選手にアプローチしたか? 選手自身が心の底からそれは やればできると信じること100%、120%信じていないとできない。レースのそ の時に一番ピークの状態でレースにのぞませる。そのためにはその目標設定を最初に誰 に話し、やる気にさせるかこれを大切にしている。その1人をやる気にさせてその1人 から、他のメンバーの者に話しをさせ選手自身がやろうじやないかという気にさせ心の底からやれぱできると思わせる、そんな状況ができないと力は出ない。メンバー全員に 対して話をしても中には必ず無理だと考える者がでる。実力があり、他の選手から見て 信頼感がある安心感がある選手が言い出したことはメンバーは信じる。その選手と2人 になるチヤンスをうかがい、世間話をしながら目標設定の話をする。ほんとにできるん ですか? と必ず聞くが、より具体的に実現可能であると話す。その1人がやる気になり さえすれは動いていく。 他のメンバーに話が通ったと思った時点でさりげなく高校新記 録の話をする。みんながほんとに?と言ったときに簡単にいとも簡単にできるんだと印 象づける。 自分たちに近い、低い目標であると印象づける。ことあるごとに記録の話を し、必ずできる出るんだと話をし、選手の中でできるんだと確証づけるようにしていく。 短期間ではなく今回は半年間かけて行った。半年あれば力もつき、心の準備期間として もいいだろうと考えた。
 レース前は逆に記録の話はしない。目標は監督の目標ではなく、 選手自身の目標であることを意識させる。選手自身の盛り上がりを大切にし、監督、コ ーチは当然記録は出るんだと安心しているように見せる。大会当日は予選からねらって いく、選手の様子がとても気になるが記録に関しての話もしない。選手の観察だけをす る。本人たちがいかにやる気になるか、コーチは当然記録は出るんだと選手に思わす安心させるためにあまり話しもしない。コーチの意に反する動きをする選手もいて、腹の中では、ああすれば、こうすれぱと思うがじっと我慢をして話をしない。選手自身も記録達成のために最善の行動をしている、それに対して話をするとそこに不安材料が生ま れる。コーチは選手のすることに触れない。
 レースは選手の控え場所から離れたところ で1人で見る。選手を観察したい、自分の顔色を見られたくない。コーチが不安な顔をすると選手も不安になる。 レース前、後に選手がコーチのところに来るが、そこで最終的なアドバイスを少しするが、その時も腹の中でははらはらどきどきで、ほんとにがんぱれよと言いたいところを我慢をして、選手から一歩下がってコーチは記録は当然でるんだ、安心してるよ、信頼してるよと見せるように心がける。結果は予選は少し足らな かった、そこで不安材料を持たないようにまず、メンバーが帰ってくる前にこれは予定 どうりだ、決勝では当然記録はでるんだといとも簡単にできるんだと他のメンバーに印象づけ、他のメンバーが、メンバーに対して大丈夫かと不安材料を持たないよう言わないようにに気を配った。平静を装い話をした。メンバーがコーチのところに帰ってきた ときに様子を観察をし、決勝では間違いなく記録はでると話をし、帰す。控え場所でも 他のメンバーも同じように絶対に大丈夫だと話をしてくれた。結果、決勝もチームの者もチーム一丸となりメンバーを盛り上げてくれて新記録を達成できることができた。 いかにコーチは選手に安心感を与えることができるか、不安材料を与えずにやる気にさ せることができるかと考えている。

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